猛暑の三岩岳
(イワイチョウ)
【 山 名 】三岩岳(三ツ岩岳)、窓明山、巽沢山
【 山 域 】南会津
【 日 時 】2024年8月3日(土)~4日(日)
【 天 候 】3日 晴れのちくもり
【 ルート 】3日 国体コース登山口10:45→旧道分岐→12:25水場12:35→旧道分岐12:45→14:35避難小屋14:45→15:25三岩岳15:30→16:00避難小屋(泊)
☆猛暑の三岩岳へ
やたらと暑い今年の夏。もう何度もレポを挙げているが、やはり暑い。その上に天候不安定、どうも高山に行こうという気が起きない。この猛暑に中級山岳はかなり暑いが、それでも三岩岳の標高は2000mを超える。ということで行ってみることにした。以前は黒檜沢から登る道が普通だったようだが、随分前の大雨以来、登山道は整備されていないようなので尾根を登る道が一般登山道である。ちなみに登山口から山頂までは標高差1300mあるようだ。
いつものようにリバティに乗り、会津高原駅で下車する。バス券を買ってバスに乗る。運転手さんにあずき温泉の手前で下車したい旨を告げて乗車した。軽い荷物を持った人や観光客がいるが、登山者らしき人はわずかだった。バスが走りだすと道路の温度表示は35度を示していた。しかし、しばらく走った所では33度と少し減った。随分乗ってあずき温泉のアナウンスでブザーを押し、運転手さんにスノーシェッドの手前でとお願いする。止まってくれたのは登山口の目の前であった。すぐ先のスノーシェッドの前に温度表示があり、その温度表示はなんと27度を示していた。しかし、そんなに涼しくはない。湿度が高いせいだろうか。
鈴の音が聞こえて一人降りてきた。避難小屋に泊まるのか聞かれたのでそうですと答えると扉が傾いていて開けにくいということであった。後で水場の事を聞くのを忘れてしまったと思った。近くには沢があるらしく、水音がしていた。登り始めるとのっけから木段の登りで少しきつい登りである。その先もやはりきつめの登りが続いて汗をかかされる。樹林の中なので木漏れ日であるのが有り難い。どんどん登っていくと少し緩やかな道になる。途中にはなかなか太い木もあって良い感じである。
一人下ってきたので水場について聞いてみたが、途中で降りてきたので分からないということだった。この暑さなので取りやめて引き返したのであろう。数年前はたくさん出ていたから大丈夫だろうということであった。しばらく進むと再び斜度が上がってそれなりにきつい登りが続く。途中、わずかに先が見えるところがあり、山頂と思われる山が先に見えたが遥かに遠い。あんな所まで登らなくてはいけないのかとちょっと思う。
ひたすら樹林の中の登りが続く。ロープが付いた所はそれなりにきつい登りである。何本か付いていて、しばらく頑張っているともう一人降りてきた。こんにちはと挨拶を交わしただけで先に進む。まだまだ登りは続く。さらに登っていき、そこそこ大きな木のある所を過ぎて、さらに先に行くと緩やかな登り道となる。また少し登ってから進むとわずかに下る。再び登りになってさらに登り、進むと左にテープの付いた所に出た。
この時点で水は2Lほど持っていた。しかし、避難小屋の前にも溜まり水があるようだけれど、まともな水場までは20分くらいあるらしい。ここから持ち上げようと旧道の方に入る。ガイドでは5分くらい下れば枝沢で水が汲める事が書かれていた。重いザックを持ったまま旧道の方に入る。あまり歩かれていないので枝などがあるが、このあたりは道は問題ない。緩やかに下っていくと思ったよりも早く、ちょろちょろと水の流れる所がある。二つくらい流れを見て、そのもう一つ先が少し水が流れているが、さらにもう一つ先の沢がそれなりに流れていたので、そこで汲むことにした。水はそれなりには冷たく、コップに入れると悪くない水である。流水なので煮沸した方が良いとは思うが、それなりに飲んだ。後でも特にお腹を壊すような事はなかった。2.5Lほど汲む。これで4.5Lになった。時間も良いので、冷たい水を飲みながら昼食のパンを食べた。
さて、避難小屋まで頑張ろう。再び道を登るが、沢のあたりは足場が悪く、バランスを崩しそうになった。ザックも重いのでふられないようにしないといけなかった。それほどかからず分岐に戻る。奥に先の山が見える所があるが、明日行く家向山あたりであろうか。
登り始めるとザックの重みがきつい。やはり4.5L水を持つとひしひしとその重みが感じられた。登りもそれなりにきつい斜度の登りが続く。ちょっと日が陰ったりすることが多くなり、そのあたりは救われた。日陰は帽子をぬぐ。風もたまに吹いてくれて、わずかに涼むこともできた。やはり高度を少し上げたせいか若干はよくなったが、登れば暑い。長い登りがひたすら続き、途中でバテて一本立てる。さらに登るとたくさんのトンボが飛ぶ。しかし、中に大きなアブが混じりだし、ブンブンと羽音を立てながらちょっかいを出してくる。長袖シャツなのでまだ良かったが、半袖シャツでは被害が酷かったろう。頭にも体当たりを食らわせるやつがいたので、少し曇っていたが帽子をかぶって防御した。さらに登っていると見えない所から指の腹を噛まれる攻撃。すぐに手を振り払うことで刺されはしなかったが、なにげに痛かった。しばらく格闘しながら登る。その上に樹林もなくなって日差しもまた復活し、上が空いているのできつい登りが続いた。木がある所が日陰になっていたのでたまらずにまた休憩。日陰で動かないと少しアブも少なくなるのが嬉しい。しかし、休憩を終えて登り始めると飛んできて増える。二酸化炭素に反応するらしいが、勘弁してもらいたい感じである。
ようやく少し登りは緩む。なかなか避難小屋が出てこない。こんな遠いのか。しばらく少しじめっぽい道を進む。わずかにぬかるみのある所もあった。さらに進むとやっと小湿原に出る。この時期、特に目ぼしいお花などはないようだ。古くなっている木道を進んでさらにまた草の生える道を登る。しばらく進むと少し岩などが出てきてわずかに水が流れている所がある。そこをさらに登っていくとやっと避難小屋に着いた。時計を見るとやはり標準タイムをかなりオーバーしていた。
アブ攻撃を避けるために中に入る。やはり扉がなかなか開かない。全部は開かないようだが、入れるくらいには開いた。誰もおらず静かなようだ。忘れ物かあえて置き残したのか銀マットがたくさんあった。自分も銀マットは持ってきたのだが、せっかくなので使わせてもらうことにする。二階もあるようだが、たぶん来る人は少ないだろうから一階にする。
☆山頂へ
少し休んでからやはり三岩岳に向かうことにする。ザックを置いていくのは少し心配だが、サブザックを取り出して水やカメラなどを入れる。持ってきた虫よけスプレーをシャツや帽子などに吹きかけておく。多少は体に影響があるかもしれないが、アブに刺されるよりはマシである。一歩外へ出るとまたどこからともなくアブがやってきた。
わずかに先が分岐になっていて、右に窓明山への道が分かれている。三岩岳へは直進である。少しの間はちょろ水が流れていたが、すぐに草の道になる。やはり問題なく道は続いている。わずかにぬかるんでいる所があるので避けたりしながら先へ進む。少し登ると小湿原が出てくる。キンコウカがよく咲いていた。木道は古いので少し斜度があると滑りやすいので注意しながら登る。まだまだアブはしつこく飛んでいる。小屋に戻るまでこの調子であろう。ただ、虫避けスプレーのせいか、刺されることはなかったので助かった。しばらく登っていく。もう雲がだいぶ出ていて、湿気もあるのでぼんやりと霞んでいるようだ。振り返ると登ってきた方面が見えた。随分登ってきたものだ。
やがてまた小湿原、そのまま木道を進んだら行き止まりだった。わずかに戻ると左に木道があった。そちらに入り、また登る。右に曲がって先に行くともう先のピークが山頂だろうか。
緩やかに登ってそのピークへの登りをこなす。するとやはり少し先が山頂で、文字のかすれている山名板が置かれていた。
先にも小ピークがあるが、そこへの道はなく、ハイマツなどの激藪になっている。残雪期には会津駒ケ岳へ行く人もいるようだが、この時期は無理である。できれば先の小ピークまで行きたかったがとても無理であろう。その先は低い雲とガスがかかり始めていて、会津駒ケ岳はもちろん見えなかった。
左をのぞき込むと低い山々が連なっている。雲が重いので遠望は無理である。でも、この暑い中を登り、山頂までこれただけで十分に満足であった。
さて、往路を戻る。アブの邪魔は相変わらずだが、少し風が吹いてきてわずかに涼しくなったのと、天候が悪くなるのか、登りよりアブの数が減った感じだった。途中に咲いていたイワイチョウやタテヤマリンドウなどの写真を撮りながら下る。
左に曲がるあたりは先に進むと三ツ岩らしいが、そこも激藪なのでとても行けるような場所ではなかった。
下っていくと先に窓明山と思われる山が見えた。しかし、さらに雲が増えて暗くなってきた。どんどん下り、再びキンコウカの咲く湿原を見てさらに下っていけば、避難小屋に戻ることができた。
誰か来ているかと思ったが、誰も来ていないようだ。もしかすると今日は自分一人かもしれないなと思う。時計を見るともう16時になっていた。水は明日も汲めるはずなので、酒を飲んでも大丈夫であろう。小屋の前に出て、持ってきた酒を飲む。座り込むとアブが高速で飛び回る。ただ、歩いたりしないせいか、近くを通るだけで通過していく。やはり動きがあるとターゲットとして見られるような感じである。ただ座っているだけならば虫避けスプレーの効果もあるのかもしれないが、特にまとわりつかれるような事はなかった。やはり誰も来る人はなく、静かなものである。17時半近くなったので食事を作る。やはり今日は一人であろう。一人の避難小屋宿泊は久しぶりである。少なくなったはずのアブが火を付けるとあっという間に数が増える。二酸化炭素を目当てにやはりやってくるようだ。食事を終えるとすることもないので、まだ少し暑いがドアを開けたままにして中に入る。シュラフカバーで寝ることにした。19時くらいまでは明るかったが、やがて暗くなる。とても静かな夜でたまにガタンという何かの音がしたり、遠くの地響きが聞こえてくるくらいである。
しかし、21時を過ぎた頃にパタパタという音がする。これはネズミではとライトを付けてあたりを確認する。その時は見つからなかったが、ライトを消して少し寝るとまたパタパタと音がしたので再びライトを付けて探すとやはり白いネズミらしい小動物がちらりと動くのがみえた。こりゃ、このままだと食材とかを齧られたりしそうだ。このためではなかったが、今日は蚊取り線香を持ってきた。若干煙いが、齧られるよりはマシである。ライターを探したが見当たらなかったのでガスバーナーで点火した。適当な大きさに切って点けたが、1時間くらいは燃えていただろう。さすがにこの匂いには勝てなかったらしく、静かになってくれた。その後はぐっすりと寝ることができた。
続く。
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