クマに遭う至仏山
(オゼソウ)
【 山 名 】至仏山
【 山 域 】尾瀬
【 日 時 】2024年7月14日(日)
【 天 候 】くもりときどき晴れのち雨
【 ルート 】山の鼻5:30→8:15至仏山8:30→9:15小至仏山→10:55鳩待峠
☆至仏山へ
さて、久しぶりの至仏山。どうなることだろうか。あまり早く行くつもりはなかったのだが、今日は午後から雨の予定だから、やっぱりそれなりには早く起きることにした。4時頃になるとみなさん起きだして動き出すので、自分は4時30分に起きることにした。隣の家族は今日は尾瀬ヶ原散策らしいが、同じように早く起きたようだ。そんなにお腹も減っていなかったのでパンとコーヒーの朝食にした。食事を済ませてテントを畳む。近くのテントの人達も早い出発の人は少なかったようである。トイレに行って出発の支度も終わり、5時30分出発とする。
雲は多いものの、天気は悪くなく、わずかに青空も見えているくらいである。これなら十分に午前中は持ちそうな感じである。まずは自然園に入る。もうこの時間でも散策している人がいるようだった。ちらほら咲くニッコウキスゲを見ながら直進して進むと再びフェンスがあり、扉を開閉して進むとそこが至仏山への登山口である。
そこからはきつい木段の登りが続く。しばらく登ると先を行く人に追いついてパスする。しばらく登るとウスユキソウが咲いている。ミネウスユキソウであろう。ひたすら樹林の中を登っていくと何組も登っているのでパスする。やがてようやく樹林から抜けて上がちらりと見えたがまだ遠い。
その上、晴れてきたようで日差しが来る。ちょっと暑いが帽子をかぶるほどではないように思えたのでそのまま登る。それにしてもナナカマドがよく咲いていた。途中のテラスのある所で前を登っている人に追いつく。そこからは尾瀬ヶ原を下に見下ろし、先の燧ヶ岳がまた良い感じである。絶景ですね、と言われたのでそうですねと返す。青空ではないが、これもまた山らしい雰囲気であろう。
岩の登りが増える。鎖の付いた登りの所も出てくる。軽い荷物なら鎖を掴まなくても登れそうだが、テントの重い荷物だとやはり鎖を掴んで登る方が安心である。
木段も出てきてやはりきつい登りが続く。だいぶ登るとハクサンチドリを見かける。ウラジロヨウラクも見かけた。途中で早い若い一組がパスして登っていった。
☆熊に遭遇
さらにしばらく頑張る。さらに登っていると上に何か動くものがある。見ると黒い熊だ!あまり大きくはない。まだ若い熊ではないだろうか。登山道を横断して右に行く。早くどいてくれないかとしばらく眺める。どうやら朝の食事、草や花などを食べているのに夢中でこちらには気づいていないようだ。これならばと写真を撮った。こういう時に限って誰も後ろから登ってこないのである。
しばらくすると熊が振り返った。こちらを認識したのか分からなかったが、しばらく待っていたら左に動く。再び登山道を横断して左に行った。これなら通れるかなとゆっくりと様子を伺いながら登った。もう行ってしまったかと思いながら木段を登ると数メートル先の思ったよりも近くにまだいた上に、こちらを振り返った!これは不味かったと思いながら目を合わせないように上を向いて登るそぶりを見せるとそのままゆっくりと先に動いたようだ。しめたと思いながらそのまま登る。影に隠れたようでその後は見えなくなる。こちらも早くここから立ち去りたく、そのまま木段を登った。しばらく登った所で振り返るとやはりもう姿はどこにも見えなくなっていて助かった。
ちょっと安心して登っていく。タテヤマリンドウが咲いていた。だいぶ上が近くなり、高度を上げたせいか涼しくなってきた。岩場にタカネシオガマが咲いている。そのあたりから高山植物が多くなった。随分登ってきた。尾瀬ヶ原と燧ヶ岳を一望できる。その左手奥は会津駒ヶ岳であろう。イブキジャコウソウやタカネナデシコをたくさん見るようになる。
ネバリノギランも見かける。そして、ホソバヒナウスユキソウである。ちょっと木段から遠い所に咲いているものが多く、なかなか近くにないので標準レンズでは写真が撮りにくかった。
それでもさらに登っていくと比較的近くで咲いているものもあってよく観察できた。ジョウシュウアズマギクもところどころ咲いているが、数はそんなに多くないようだ。写真を撮りながら登っていくとだいぶ黒い雲が上にかかりだした。風もあり、汗に濡れた半袖シャツでは少し肌寒いくらいになりつつあった。やはり天気は悪くなるのであろう。
ヨツバシオガマも咲いていた。左にトラバース気味に登っていく。岩や石が多く、なかなか行程が捗らない。ここは我慢してのんびり登るしかない。ようやくピークが近づくと右に進んで登り、やがて人の声が聞こえて、山頂に飛び出た。
山頂には数人が休んでいた。ザックを下して眺めを楽しもうと思ったが、もう雲が湧き出し、ガスがかかり始めていた。眺めは楽しめないようである。朝食の残りのパンを食べる。水をたっぷり飲んだ。鳩待峠までだから、特に水の残りを気にする必要もない。今日は2.5Lザックに入れたが、そんなに飲むこともないだろう。
しばらく休憩し、下りにかかる。右手からガスが吹き上がっていてもうかかり始めていた。まだこのあたりはお花が多い。シャクナゲがよく咲いている。ミネウスユキソウとホソバヒナウスユキソウの両方が咲いていた。登る人は多いけれど、ここでいつまでも咲いていて欲しいと思う。
やがて登ってくる人が多くなった。花の撮影をしながら下っていく。小至仏山の登りは大変そうに見えたが、取りついて見るとそれほどではなく普通の登りだった。それでもそれなりには登らされる。小至仏山の小さな山頂にも人がいた。少し待ってから石碑の写真を撮る。その先に降りるとたくさんの人が登ってくるので少し待たされた。
どんどん降りていく。ハクサンイチゲやチングルマを見かける。数はそんなに多くないようだ。イワカガミもあった。このあたりから人数の多いグループに会うようになった。木段を下るが、だいぶガスも増えてきたようだ。後ろを振り返るともう小至仏山にはガスがかかっていた。
途中にベンチのある所がある。そこで少し休む。もう尾瀬ヶ原の眺めもこれで最後であろう。休んでいたら、団体さんが到着。なので逃げるように下る。アカモノ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウも見かけた。団体さんは3グループくらいに分かれて登っているようだ。次から次へと登ってきていた。下っていくとすぐに笠ヶ岳の分岐。あちらに歩いたのが懐かしい。そこにもグループが来ていた。
さらに下っていく。しばらくは木道の下りが続く。やがて柵が出てきて扉を開閉して通る。中に入ると小湿原になっている。ごく普通の湿原であるが、昔からの湿原はこんな感じの雰囲気だよなと自分が気に入った雰囲気の湿原である。ちょうど人もおらず静かである。反対側から出ようとする頃、後ろから一人やってきたようだった。
扉を開閉して先に下るとすぐにオヤマ沢田代の表示のある所に着く。小さな沢が流れている。ここで標高1980m、もう2000m以下のようである。写真を撮っていたら、さきほど見かけた人が先へ歩いていった。
先へ進むとかなりの下りになる。道もあまりよくなく、木段も壊れかけていたりするので段差が大きかったりする。まだこの時間でも団体さんが登ってくる。この時間からの登りだと間違いなく雨に打たれることになるだろうと思う。少し下ると木道の下りになるが、周りはガスに囲まれた。薄いので視界が悪くなるようなことはないが、天候悪化を示しているようでうす暗くなってきた。開けた所で少しガスが切れたが、ガスが下に向かって下っているのが見えた。やはり天気は悪くなるようだ。どんどん下る。まだまだ登ってくるグループや団体さんに会う。それにしても道は長い。こんな長い道だったか。まったく覚えていない。途中、大きな木があった。そこで水を飲み、わずかに休む。さらに先へ下っていく。鳩待峠1Kmの表示を見る。先に進むと後ろから早い二人が抜いていった。まだ人に会いながら下っていくとやっと鳩待峠の登山口に出た。
目の前の休憩所の前で休む。バス券を買い、ついでに花豆ソフトクリーム(\650)を買う。随分高いソフトクリームだ。外国人向けかと思うくらいの値段である。観光地だから仕方ないのだろう。独特の香りがあり、少し甘さが普通のソフトクリームとは違う感じだった。
さて、道路を歩いて乗り場へ行く。もうすでに数人が待っていた。少し待つと人数が揃ったようで乗り込む。第一駐車場をお願いした。ぽつりぽつりと雨が降り出したようだ。車はあっという間に下っていく。第二駐車場あたりまで下るともう雨がしっかりと降りだしたようだ。バス停でも下車する人がいて、その次にぷらり館前で下車する人がいる。ここで降りることができたのか。自分もここで下車をお願いして車を降りた。
ぷらり館で入浴(\600)する。以前と同様に硫化水素の香りがほんのりとするお湯で少し熱め、ぬるつきが感じられる良いお湯であった。半露天風呂でのんびり入浴する。同時に入浴していた人はほとんどマイカーの人と思われ、あまり長湯せずさっさと出ていく。そのおかげで何度も出たり入ったりしながら、のんびりと入浴できた。
この時間は沼田方面行のバスは30分に1本くらいあるので、特にバス時刻を気にしていなかった。この施設は食事処はない。入浴を終えて上がってから時計を見ると後10分後に始発の沼田行きのバスがある。これなら空いているだろうと乗り込む。やはり乗客は数人と少なかった。しばらくはたいした降り方ではなかったが、鎌田を過ぎると、途中、かなり雨が降っていた。沼田駅に近づくとまた雨は弱くなった。それでも沼田駅で下車した時にはそれなりには降っていた。駅には売店もないので、近くの商店でパンを買い込んで食べた。のんびりと各駅停車で帰宅した。
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